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2018.01.30会員コラム

成年後見法制によるソフト・パワーの国際協力(立教大学社会デザイン研究所研究員 櫻井幸男)

  1. はじめに

世界の国々が人口の高齢化に直面している。人口高齢化の現象は、地域別にみると、ヨーロッパとアジアで最も顕著にみられる。なかでも、わが国は世界最先端の超高齢社会である。現在の65歳以上の全人口に占める割合(高齢化率)は、27.3%(2016年9月時点。女性だけであれば、30.1%)であり、今後ますます高齢化が進行し、2060年には39.9%に達すると推計されている。人口の高齢化とともに増加しているのが、認知症高齢者等である。認知症高齢者等は、現在わが国に560万人いると推計され、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、700万人に達する見通しである。これに、軽度認知症(MCI)の人々を加えると、現在でも1000万人近くとなり、2025年には1300万人[i])に達すると見られている。

このような人口高齢化と認知症高齢者等の増加は、各国ともに共通の現象となっている。その中で、わが国は世界最先端の超高齢社会の国家として、さまざまな対策[ii])を講じている。多岐にわたる対策の中で、本稿では成年後見法制[iii])に注目したい。この法制に注目する理由は、アジア諸国はこの領域の法制化が進んでおらず、運用実績のある国が限られる、からである。わが国は、アジア諸国の中で、成年後見法制とその運用実績のある国の筆頭に位置付けられる。

わが国は、ドイツなどのヨーロッパ諸国に比べれば、成年後見の利用実績はさほど多くない。しかし、2016年成年後見制度利用促進法の制定により、2000年の成年後見法制施行後、初めて内閣府が、官学民の協力の下に、成年後見制度利用促進検討会議を開催し、各種の検討を行った。この結果、次項に概要を示す「成年後見制度利用促進基本計画[iv])」が策定され、本年3月に閣議決定された。この計画は、わが国の同制度利用促進と不正防止のために策定されたものであるが、ここで得られる知見と経験を蓄積して、3年後には国際協力の一領域として活用できると思われる。本稿は、成年後見法制によるソフト・パワーを、人口の高齢化が急速に進む東南アジア諸国を対象に、国際協力に結び付けることを提案したい。その際、シンガポールを、本国際協力の連携協力パートナー国として位置付けることも提案したい。その理由と背景は、以下順を追って述べる。……

本稿の続きは、下記のリンクをご参照ください
国際開発ジャーナル733号(2017年12月)29-33頁

(本稿は月刊『国際開発ジャーナル』創刊50周年記念「小論文コンテスト」ECFA(海外コンサルタンツ協会)会長賞を受賞(2017年11月22日)し、国際開発ジャーナル733号(2017年12月)29-33頁に掲載された。)
『国際開発ジャーナル』の応募と選考基準

図-1:成年後見制度利用促進基本計画について

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(出所:内閣府ホームページ;註3))
注:
[i]) Yahooニュース 2017年3月25日配信「日本社会が直面する、認知症『1300万人』時代」を参照されたい。https://news.yahoo.co.jp/feature/565
[ii]) 対策の詳細は、厚生労働省ホームページ「認知症施策」を参照されたい。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html
[iii]) 法務省ホームページ「成年後見制度」を参照されたい。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
[iv]) 詳細は、内閣府ホームページ「成年後見制度利用促進基本計画」を参照されたい。
http://www.cao.go.jp/seinenkouken/keikaku/index.html

〖 立教大学社会デザイン研究所研究員 櫻井幸男 〗

 

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