2017.04.04視察報告(国内)
2016年「龍生園」視察報告書 (名城大学 教授 柳澤武)
1.視察日
2016年9月6日(火)
2.視察先
社会福祉法人 天雲会 龍生園
868-0086 熊本県人吉市下原田町瓜生田字若宮1057-9
http://park5.wakwak.com/~ryuseien/
3.視察項目・内容
運営現場の視察、認証者によるレクチャー、運営者からのヒアリング
4.視察の目的
龍生園は、公共交通機関によるアクセスでは不便な立地にありながらも、予約待ちが絶えない人気の特別養護老人ホームである。そこで施設や運営について、どのような工夫がなされてるのか、現地視察を行うこととした。
5.働き方についてのヒアリング――労働者の観点から
筆者の専門が労働法学であることから、主に働き方や人材確保についてのヒアリングを行った。
介護職員については、40名が最低基準であるところ、70名近くを確保しており、うち7割が介護士の資格を保有している。また、近隣住人による有償ボランティアや障害者の雇用も行っている。若年の副施設長を起用し、10代から70代までの幅広い世代が楽しく働ける職場づくりを目指している。
人件費率は7割だが、極力外部委託をせず、次(6.)でみるように、家具などを製作するスタッフを自前で持っている。一時期ユニット化(後述)による人手不足が発生したが、近隣から遠方に至るまでの地域から応募があり(そもそも本施設のある人吉地区では求人が少ない)、上記の人件比率を達成している。今年度の新規採用は16名であった。
今後の課題は人事評価の在り方であり、2012年と2015年に行われた職場アンケートでも、いくつかの点が指摘されていた。年齢や役職に関わらず発言ができるか否かが重要であるとのコメントもあり、相互評価の可能性などについても議論が及んだ。介護職は、人事考課が困難な職種であるといえるため、引き続き改善が求められる。
6.主要な写真の説明
各地域には、町名や番地が付けられており、ユニット制となっている。また、ユニット形式の導入で、時間割を廃止し、一人一人の起床時間に職員が合わせることが可能となった。一食ぐらいは本人の意思で食べなくても良い。
Uビジョン研究所による認証評価の証。
あゆなどの魚を骨まで食べられるよう煮込むための特別なオーブン。ユニット内調理が可能となる。音・匂いで朝ごはんと認識できることにより、認知症対策にもなる。
今回の食事。ときには、入居者が手作りで「うまかもんつくろう会」というイベントを開催し、職員と一緒に買い出しに行くこともある。
手作りの家具を作るための作業場。ここから入居者が使いやすい、かつ、デザイン性も高いオリジナル家具が作られる。
ここで作られた家具の一つ。
駄菓子コーナの入れ物もオリジナル。
こちらは木の空き箱をリサイクルして作られたボックス。
〖 名城大学 柳澤武 〗